「銀行は信用できない」「銀行員は手のひら返しがひどい」
経営者の皆様から、このような言葉を耳にすることがあります。確かに、銀行の融資方針は景気や社会情勢によって大きく左右され、時に冷徹な判断が下されることも事実です。
しかし、元銀行員の私から言わせれば、基本的には銀行員は信用して良いと言えます。
なぜなら、銀行もできれば取引先企業が成長し存続し続けてくれることを願っているからです。
銀行員の本音:取引先にはできる限り長く続いてほしい
銀行員は、業績が悪化すると融資を引き揚げにかかったり、厳しい言葉を投げかけてくると思われている方も多いと思います。しかしながら多くの銀行員は、取引先が困難な状況に陥ったとき、親身になって相談に乗り、解決策を模索しようとします。
実際、私が銀行員時代に在籍していた営業店や審査部には、取引先企業を「潰したい」と思っている人は一人もいませんでした。むしろ、彼らは企業の存続と成長を願い、できる限りのサポートをしようとしていました。
もちろん、銀行にはコンプライアンスという厳しいルールがあり、悪質な不祥事や法令違反をした企業に対しては「守る価値なし」というスタンスで厳しい対応をすることになります。しかし、それ以外の場面では、銀行員は意外と柔軟な対応をしてくれることが多いのです。
例えば、業績に関するネガティブな情報を本部に報告する際、担当者は情報を調整したり、企業の努力を強調したりすることで、本部の心証を良くしようとしてくれます。
銀行との付き合い方:敵対ではなく協調
ただし、銀行担当者に敵対的な態度を取る社長に対しては、銀行も融通を利かせた対応は難しくなります。
銀行との良好な関係を築くためには、以下の点に注意する必要があります。
- 担当者との信頼関係構築: 銀行担当者も人間です。彼らも信頼できる相手には、積極的に協力しようとします。日頃からコミュニケーションを取り、信頼関係を築くことが大切です。
- 情報の開示: 銀行は、企業の財務状況や経営計画を把握することで、適切な融資判断を行います。ネガティブな情報も含め、情報を包み隠さず開示することが信頼につながります。
- 相談する姿勢: 融資の際、銀行担当者に「融資してください」とお願いするのではなく、「どうすれば融資を受けやすくなるか」を一緒に考えてもらうくらいのスタンスで臨みましょう。担当者を説得するのではなく、こちら側に立ってもらって一緒に本部を説得するというイメージです。
銀行担当者ガチャは大きい
しかしながら銀行との付き合いにおいて、担当者の当たり外れが大きいことは否定できません。
以下のような担当者の場合には注意が必要です。
- 経験: 入行5年目までの経験の浅い担当者は、たとえしっかりしているように見えても銀行の考え方や対応策を十分に理解していない可能性があり、ミスリードしてしまう可能性があります。
- 役職: 50歳を超えても係長クラスの役職の担当者は、銀行員としてのスキル不足や社内調整能力の低さ、人間性に問題がある可能性があります。
もちろん、上記はあくまで目安であり、例外もあります。しかし、担当者の経験や役職を考慮することで、信用して全て洗いざらい相談できる人かどうか見極める材料にはなります。
では、良い担当者が付くためにはどうすれば良いか?まず、第一歩はたくさん融資を受けることです。借入が無い会社は、よほど地域に影響力がある会社を除いて、銀行にとって重要なお客様にはなりません。融資の残高が大きくなると、それなりに仕事が出来る担当者がついてくれる可能性が高くなります。
まとめ:銀行は敵ではなく味方
銀行は、あなたの会社の成長を支えるパートナーです。信頼関係を築き、協力し合うことで、共に成長していくことができるでしょう。
もし、あなたが銀行との関係で悩んでいるなら、ぜひご相談ください。元銀行員としての経験と知識を活かし、あなたの会社に最適なアドバイスをさせていただけると思います。